オフィシャルブログ

アテーサE-TSの故障について

富士スピードウェイで開催されるR’sミーティングへの参加は、

毎年の恒例行事になりました。

初出店は何年くらい前になるのだろう・・・

編集長さんからの

「出店してみましょうよ。お話したい人、多いですよ。」

その言葉での勢いとノリで

イベントを見学するだけだった自分が出店を決めました。

テントやテーブルはリース手配ですので

形だけは他力本願で大丈夫、

直前までは、

「まずは恥をかきに行こう。何ごとも経験だ!」と悠々としていたフリは

開催直近に限界点に達し、

何かしなくてはいけない・・・と危機感が高まり、

慌てて作ったのがリオマガジン001でした。

出発の2週間くらい前に思いつき

印刷会社に相談し、文章を書き始め

焦った状態での原稿は誤植だらけ

完成品が店舗に届いたのは静岡への出発当日でした。

R’sミーティング会場では、

文章ミスが多い理由をお話しながら配布したのですが、

それで親近感が上がったような奇妙な効果がありました。   笑

 

昨年(2024年)もたくさんの方とお話ができました。

あるBNR32のオーナーさんからは、

トランクルームからの短い周期でのカチカチ音のご質問がありました。

1分間くらいの周期のその音について思い浮かんだのは

アテーサE-TSのモーターを動作させるリレーの作動音です。

4WDの動作のために必要な油圧を作るためのモーターは

設定された油圧の上限に達するとスイッチがオフになり、

下限値に達するとスイッチがオンになるよう

リレー動作で制御されています。

 

ふと・・・

電気部品にちょっとだけですが詳しい自分には

「リレー」は、使い慣れた普通の部品ですが、

多くの人はご存知なのだろうか・・・と

ブログを書きながら思いました。

そこで、リレーについてちょっとご説明してみます。

 

モーターなどの動力を作る部品は大きな電力を必要とします。

電力が大きい場合、通電するための配線やスイッチなどの部品には

それなりに大きな負荷が発生します。

例えば、以下のような回路では

(フリーハンドですみません・・・)

配線やスイッチには発熱などによる負担がかかります。

そのため頑強なスイッチを採用する方法もありますが

電子回路ではそれが難しい場合も多く

そのような状況で、リレーが登場します。

リレーとは、通電部分を受け持つ小電力で動く部品です。

このような構造です↓

AとBに電気が流れるとCの電磁石が磁力を発生し

固定されたDの上側のEを引っ張り

EとDの間で通電する構造です。

Cの電磁石は使用電力が小さいため

AとBの電力も小さいため

リレー駆動用にはわずかな電力しか必要としません。

リレーは、図では、このように表現します。↓

モーターの回路にリレーを入れると↓のようになります。

スイッチにはリレーが使用する小さな電気が流れ

モーターが使う大きな電力はリレーの接点を通過する

スイッチ保護の回路です。

このリレーが動く際、

電磁石がEとDを接触する時にカチカチ音が発生します。

 

お話、戻りまして

アテーサの作動頻度にもよりますが、

アイドリングでは数分間周期です。

その間隔が短い場合、

圧力を貯めるためのアキュムレーターの異常が多いです。

BNR32では、アキュムレーターはリアデフの上部にあります。

内部は↓のような構造になっています。

アキュムレーターのガス圧に対し

アテーサモーターの油圧が勝り

内部のピストンが図の位置まで押された状態で止まり

油圧センサーが3.8Kを検知したところで

アテーサの制御ユニットがモーターを停止させますが、

油圧は最大で3.8Kがキープされています。

↑またフリーハンドです。

文章での説明では長くなって、逆に分かりにくいもので・・・。

アキュムレーターに貯めた油圧でセンタートランスファー内の

クラッチを押し発生した摩擦でフロントタイヤを駆動させる構造ですが

(実際は逆流防止バルブなどもっと複雑です)

アキュムレーターが壊れた場合・・

例えば↑のような状態でシール部が破損したり、

ピストンや内壁のシリンダーに傷が入ってしまうと

⇔の小さな範囲にピストンの動きが制御されたり

固着の場合では、ほぼゼロの油圧確保量になり、

必要な圧力の上限でスイッチオフのためのリレー動作

必要な圧力の下限でスイッチオンのためのリレー動作のため

短い周期で圧力スイッチがカチカチと音を出している可能性があります。

もう一つの理由として考えられるのは圧力スイッチです。

正常に作動するための圧力が内部構造の故障で変化し

狭い範囲で、動作信号を制御ユニットに伝えているケースもあります。

通常、どちらの場合でもメーターには「4WD」の警告が点灯し

トランク内のユニット下の窓から確認できるLEDの点滅回数で

その故障を検知する事ができるのですが

RB26エンジンで採用されている故障診断は

完全に壊れる前の中途半端な状態では

多くの場合で「異常なし」を表示します。

それまでの経験則や勘が必要な理不尽な状態ですが

たぶん多くの日産ディーラーさんでは、

それらに精通していた当時の整備士の多くが定年退職され

不調のBNR32などが入庫すると

若手の人たちが苦労するような現状があるみたいです。

 

(続きます)

Translate »