職員室では、
担任の席の横に、隣のクラスの担任がいました。
担任は
卑怯極まる行為に対し、自分が激しく怒っている事を
隣の教師に見せる意味もあって
職員室に呼んだようにも思いました。
スポーツの神聖さ
正々堂々と戦う素晴らしさ
その真逆の行為について
延々と叱られ続けました。
ジャイアンは泣いていました。
しかし、自分は涙が出る気持ちにはならず
その様子が先生の怒りを増大させたようでした。
「綱引きはなぁ、引くから綱引きなんだ!」
そんな当たり前の説明でしたが、
反論する自分を
ジャイアンは、半開きの口と凝視の目と
信じられない表情でこちらを見ていました。
「先生、ここ使っていいですか?」
黒板を指さすと、
「おお?なんだ・・・?」
戸惑いながらも頭が上下に動いたので
了解したと勝手に判断し、
黒板に書きました。
1-1=0
「これは、綱引きで双方の力が同じ場合、綱が動かない状態です。」
「なるほど、力関係を引き算の数式で表したんだな。」
「そうです。」
その時、職員室の先生のほぼ全員がこちらを見ていました。
注目の中、先生は
「ほら、(-)、つまり(引く)だ。綱引きだからな。」
勝ち誇った様子だったのですが、
「確かにぼくたちは押しましたが・・・」
1-(-1)=2
「これも引き算です。」
数秒の沈黙の後、
隣のクラスの先生の・・
「なるほどなぁ、それは言えてる。」
その一言は、より強い怒りエネルギーを加えたようです。
「そんなのは、屁理屈だ!」
「数式です!」
懐かしい・・・・。
とても懐かしい思い出です・・・・。
ジャイアンは泣いていましたが、
自分はまったく泣けませんでした。
心臓が、ポチタだったのかも知れません・・・・。 (チェンソーマン 風)
(おしまいです)