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綱引き2

職員室では、

担任の席の横に、隣のクラスの担任がいました。

担任は

卑怯極まる行為に対し、自分が激しく怒っている事を

隣の教師に見せる意味もあって

職員室に呼んだようにも思いました。

 

スポーツの神聖さ

正々堂々と戦う素晴らしさ

その真逆の行為について

延々と叱られ続けました。

ジャイアンは泣いていました。

しかし、自分は涙が出る気持ちにはならず

その様子が先生の怒りを増大させたようでした。

「綱引きはなぁ、引くから綱引きなんだ!」

そんな当たり前の説明でしたが、

反論する自分を

ジャイアンは、半開きの口と凝視の目と

信じられない表情でこちらを見ていました。

 

「先生、ここ使っていいですか?」

 

黒板を指さすと、

「おお?なんだ・・・?」

戸惑いながらも頭が上下に動いたので

了解したと勝手に判断し、

黒板に書きました。

 

1-1=0

 

「これは、綱引きで双方の力が同じ場合、綱が動かない状態です。」

「なるほど、力関係を引き算の数式で表したんだな。」

「そうです。」

 

その時、職員室の先生のほぼ全員がこちらを見ていました。

注目の中、先生は

「ほら、(-)、つまり(引く)だ。綱引きだからな。」

勝ち誇った様子だったのですが、

「確かにぼくたちは押しましたが・・・」

 

1-(-1)=2

 

「これも引き算です。」

 

数秒の沈黙の後、

隣のクラスの先生の・・

「なるほどなぁ、それは言えてる。」

その一言は、より強い怒りエネルギーを加えたようです。

 

「そんなのは、屁理屈だ!」

「数式です!」

 

懐かしい・・・・。

とても懐かしい思い出です・・・・。

ジャイアンは泣いていましたが、

自分はまったく泣けませんでした。

心臓が、ポチタだったのかも知れません・・・・。 (チェンソーマン 風)

 

(おしまいです)

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