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日別アーカイブ: 2022年8月5日

積載車の積載車2

積載車の故障の原因は

加給圧に負けて外れてしまった

タービンからインタークーラー間のホースでした。

こんなになっていました。

最初に違和感で止まったパーキングで

エンジンルームを確認していれば

すぐに分かったハズ・・・。

簡易的な修理でゆっくり広島まで戻れるくらいには

できたハズ・・・。

トラックは詳しくない・・・とか

最初からあきらめたのは大失敗でした。

本来はこのような状態です。

これが抜けてしまうと

エンジン回転数に対しての吸気量が少なすぎて

警告灯が点灯したと思われます。

昔のディーゼルエンジンでは

吸気量のセンサーは基本的には無かったのですが

最近はエンジン制御コンピューターが、

インジェクターの作動時間を制御するため

いろいろと追加されています。

警告灯が最初は「橙」だったのは

たぶん・・・パイプが軽く抜けた状態で

外に出た空気量が少なかったので

「整備が必要」の判断から、

そのまま走って完全に抜けたことで、

センサーが測定した空気量と

エンジン回転数が大きく離れてしまったため、

「赤」に変わったと思われます。

 

「ターボエンジンでターボが壊れたらNAになる」

そのような言葉を聞くことがあります。

「NA」は「ノーマルアスピレーション」の略、

「アスピレーション」は吸引の意味で、

常連の看護師さんは、その単語を聞くと

気管に溜まった痰の吸引治療を思い出すのだそうです。

ターボなどの過給機が無く、

ピストンの上下運動だけで吸気する

自然の状態での吸気でNAと表現されているのですが、

「ノーマル」とは

「普通」「正常」「尋常」の意味があり

「アブノーマル」が反対語ですから

ターボエンジンは

「アブノーマルアスピレーション」が正しい・・・・。

 

「ターボエンジンでターボが壊れたらNAになる」

これは機械的には正解ですが、

性能的にはNGです。

ターボは負圧領域でも過給を行っていますので

ターボが装着されたエンジンで加給圧が失われると

負圧でも圧倒的に遅くなります。

 

そのようなわけで

積載車は壊滅的に走らなくなってしまいました。

そこでロードサービスをお願いして搬送したのですが

原因が分かるまで、

「うー、修理代、どれくらいだろう・・・・・?」

「桁超えをするかな・・・・?」

恐怖でしたが、

ホースが抜けている状態を目視したところで

ちょっと安心しました。

 

ちなみに、ホースは再利用可能ですが、

ホースが抜けた理由は

ゴム部が消耗したことが大きな原因で

バンドをがんばって締め付けても再度抜ける可能性が大きく

新品に交換しました。

部品番号 ML241574

参考まで、

積載車は三菱ふそうのキャンター(FEB80)です。

油脂をしっかりパーツクリーナーで脱脂して、

抜けにくい状態で取り付けるのは必須です。

バンドも交換ですが、

純正のバンドでは性能不足と考えました。

純正と同じ形状のバンドです。

ネジを回して締め付けるタイプですが、

問題が二つあります。

一つは締め付けのトルクに限界があることで

一定のトルクを超えると勘合部分の耐久性不足で

破損し、バンドが斜めに形状変化し

ホースに対しての均等で強い加圧が難しくなります。

また、ネジ部のホースへの当たり面はきれいな局面でないため

同様に均等な加圧に問題があることで

抜ける原因になること以外に

加給圧が抜ける状況が発生する可能性があります。

そのような状態が発生すると、

先のセンサーが測定した数値と

実際にエンジンに入った数値に誤差が発生し、

エンジンコンピューターは必要以上の燃料を

インジェクターに噴射させる現象が発生します。

しかし、点火プラグの無いディーゼルエンジンでは、

入った空気と燃料量で自然に着火タイミングが決まるはずですので

この「空気抜け」については

それほどの問題では無い・・・かも知れませんが、

実際、純正のホース付近には

以前から空気が抜けたと思われる汚れが多数で

いずれにしても止める工夫は大事です。

 

こんなホースバンドがあります。

 

 

ネジ式と何が違うでしょう・・・・?

ネジ式は締め付け強度を取り付け時に調整できそうですが

スプリング式の上側のバンドは

消耗で締め付け対象のホースのゴムが劣化した場合などでは、

さらに加圧して自動的に調整できるメリットがあります。

この部分をスプリング式に交換も選択肢としてはあり・・・

ですが・・・・

締め付け圧の強度不足は心配です。

そこで、ブースト圧の高いRB26DETTなどで使用している

HPI製のバンドを使うことにしました。

スプリングとネジを併用し

ホースへの当たり面を曲面にするため

内側に違う構造を入れています。

そして・・・・、強度アップのため、

ダブルで使用!

 

修理費用は総額で2万円弱・・・・。

抜けた箇所以外にも

抜けそうなところもすべてダブルでバンド交換しました。

そして、

もしもの再発に備えて

バンドと工具と今回外した古いホースも積載車に常備。

 

後日談ですが・・・・

積載車の特に登坂能力が明らかに上がりました。

そして、

燃料の消費も減ったように思います。

これは・・・・

もっと早くにやっておけば良かったかも・・・・。

キャンター FEB80 に限らず、

ターボがついたエンジンで

ターボやブローバイでのオイルで周囲が汚れている際は

この施工はお勧めかも知れません。

 

ご報告でした。

 

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