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日別アーカイブ: 2022年10月20日

燃費5

BNR34の常連さんからの電話。

「インプレッサみたいなエンジン音になった!」

加速も燃費も悪化したそうです。

 

インプレッサみたいな音とは、

水平対向エンジンでのエキゾーストマニホールドの

左右の長さの違いから発生する不整脈音で、

ボクサーエンジンの名称からボクサーサウンドとも言われていますが、

ピット作業中、ご来店車両からこの音が聞こえると

エンジンの1気筒が動いていない状態と酷似しているため

心拍が速くなります。

ですが、

RB26DETTでのボクサーサウンドは異常です。

 

最も多い原因として考えられるのはイグニッションコイルの不調です。

6気筒の6つのプラグの上に6つのコイルが装着され

プラグコードレスの構造になっていますが

どれか一つでも壊れるとプラグに火花が入らず

5気筒に変身します。

6回に1回、休憩するシリンダーが不整脈を生み、

ボクサーRBになります。

BNR32、BCNR33については

パワートランジスタの故障でも同じ症状になります。

イグニッションコイルは、コイルの特性を利用した

自己誘導とか相互誘導などで

(この説明はまた長くなりそうなので、どこか先で・・・)

バッテリー電圧を放電が可能な約1万ボルトに昇圧しますが、

その際に発生する逆電流で、

コンピューターなどの繊細な電子部品が破損するリスク回避のため

「危ない最前線は君が担当して!」の理由で

エンジン上部に取り付けられたパワートランジスタが

信号を伝えつつ逆電流に耐える仕事をしていますが、

最前線なので稀に壊れます・・・。

イグニッションコイルの1つに通電されない状態で、

コイルが壊れた時と同様にボクサーRB現象が発生します。

このボクサー音が出ている状態では、

着火していないシリンダーの1つには

ガソリンと空気だけが入る状態になり

ガソリンなどの有機溶剤がオイルを分解する希釈が発生し、

長時間エンジンを動かすと

オイルレスに近いためピストンリングの摩耗や

シリンダー内壁の傷、消耗のリスクがあります。

 

他、ボクサーRBの原因としては、

インジェクターやインマニのガスケット破損、

レアなケースではクランク角センサーなどがありますが、

こちらもまたどこかで書かせていただきます。

そして、この不調のイグニッションコイルの1つが壊れていました。

 

また余談ですが、

この確認方法として

最も体を動かす手段として、

ヘッドカバーを外し

アイドリング状態でコイルのカプラーを

一つずつ外すテスト方法があります。

もし、壊れたコイルが紛れている場合では、

そのコイルのカプラーを外しても状態の変化がありません。

元々、壊れているのですから通電が無くても同じ状態です。

もっと簡単な方法では、

ヤシオファクトリー製の岡ちゃんウォーターテンプ3を購入し

故障診断カプラーに接続、

アクティブモードという機能を使うと

強制的にシリンダーを個別に停止できるため、

カプラーを外したのと同じ状態を再現できます。

これらのテストで異常が発生しているシリンダーが特定できますが、

それだけでは、

イグニッションコイルかパワートランジスタの2択以外に

インジェクター、エンジンの圧縮不良の可能性が残ります。

そこで、不調の可能性のあるイグニッションコイルと

明らかに正常なコイルの場所を入れ替えるテストがあります。

これで、不調箇所も入れ替わった場合は、

99%、イグニッションコイルの不調ですが、

入れ替えてもシリンダーの場所に変化が無い場合は、

パワートランジスタか、インジェクターの不調、

もしくはインテークマニホールドの破損による二次空気の混入の可能性等、

故障個所の確定にはもう少し作業が必要ですが・・・

このお話、

やはりまとめてどこかで書かせて頂きます。

 

(燃費の話は、また、続きます・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

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