数年前、
シルビアS15ターボ用の純正燃料ポンプの価格が大幅値上げ、
しばらくの後、
BNR32用の純正燃料ポンプも約5倍に高騰しました。
保管、生産設備の維持等もあり、
仕方ない事情は分かるのですが、この金額差はすごい。
しかし、当時は、それほど慌てませんでした。
なぜなら、裏技として「ニスモ製の選択」があったからです。
純正がそれほど高騰してもニスモ製は変わらずの5万円強、
ディーラー整備の選択肢だけでのオーナーさんは、
この方法を知らない人もいるのだろうなぁ・・・と
勝手に同情していました。
ちなみに、ニスモ製は純正比べて1.25倍の燃料吐出量があり、
「このまま使っても大丈夫?」
吐出量が1.25倍であれば燃料も1.25倍噴射され
燃費の悪化やプラグのかぶりが発生しない?
そのような質問をするオーナーさんは
知識があります!
ニスモ製燃料ポンプを純正代替で使用するのは、
こちらの経験則ですが、基本的には大丈夫です。
テストでの測定でも、空燃比の変化はありませんでした。
燃料ポンプが作った圧力は、
マニホールドの圧力に対し常時調整され
インジェクターの動作時間と噴射量の関係が変化しないようになっています。
例えば、燃料の圧力(燃圧)が1kg/cm2の時、
マニホールドにブースト1kg/cm2の圧力がかかっている場合
燃料は気圧と相殺されインジェクターが開いても
まったくマニホールドには噴射されませんが、
アイドリング時の負圧状態では、
燃圧など無くても吸い出されるように燃料は吹き出します。
そこで、フューエルレギュレーターという部品が、
(↑このような部品ですが・・・)
燃料をスルーしたり、止めたりを行い、
マニホールド圧に対して、
リアルタイムで燃圧を調整しています。
そのため、燃料ポンプが少し圧力を上げたとしても
余分にガソリンタンクに戻し調整される事になります。
ガソリンタンクに多く燃料が戻る状況について
インジェクターパイプの冷却の効果があると考えていました。
ここが高熱になると噴射前のガソリンが
沸騰気化するパーコレーションが発生しますが、
冷却でその抑止ができると考えていたのですが、
逆にインジェクターパイプからの熱でガソリンの温度が上がり、
ガソリンの容積が膨張し、噴射された燃料量が
実質的に減ってしまうリスクが増大します。
いずれにしてもモータースポーツ系の連続走行の際の話で、
日常的な走行では、影響は小さいため、
ポンプの吐出量が少し大きくなるくらいであれば
そのまま走行可能で、
価格の安いニスモ製の選択にはメリットがありますが、
ポンプの吐出量が激しく大きい性能の製品の場合では、
レギュレーターの通過可能な容量を超え、
水圧が上がった水道と同じで
予定以上の燃料がエンジンに届く事になります。
ですが、
燃料ポンプの性能が大幅に下がってしまうと
フューエルレギュレーターが全閉の状態でも
加給圧に燃圧が負け、必要な燃料の噴射ができなくなってしまう現象も発生し、
気づかずにそのまま走行してしまう事例も少なくありません。
(続きます)