オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2023年5月7日

燃料ポンプ3

同じBNR32のセッティングで

同様に空燃比が数値に反映しないケースがありました。

セッティングには燃料ポンプの正常な性能が前提のため、

事前でのお問い合わせの際、オーナーさんから、

「[4L/分]の燃料ポンプに交換済みです!」

と確認済みでした。

前回とは違い、

詳しい人と一緒にご自分で作業をされたそうですので

前回のような「交換しました詐欺」ではありませんが、

また・・・インジェクターの噴射時間を増やしても

ブースト時に空燃比に変化がありません。

 

恒例、試行錯誤が始まる中、

少し気になったのが[4L/分] です。

この表現は、詳しい人のものです。

 

燃料ポンプの吐出量について

4L/分は、一分間で4Lの燃料を送り出せる意味です。

馬力と燃料ポンプの性能には密接な関係があり、

燃焼効率や燃料経路等での圧力損失等で誤差はあっても、

自分が目安にしている簡単な計算式では、6気筒の場合、

吐出量(ml/分)÷気筒数(6)=最大馬力 です。

 

オーナーさんの説明のあった燃料ポンプでは、

4L=4000ml ですので、

4000÷6=666

内部での圧力損失等で20%程度の余裕を考えても、

666×0.8=532.8

インジェクター容量等、他にも影響はありますが、

数値的には十分足りるはずです。

(この数式、多くの条件を曖昧にしていますので、あくまで目安です)

 

どうしても気になったのは、[4L/分]の表現です。

「燃料ポンプのメーカーはどこでしょう?」

「ヤフオクで購入したので不明です。数値の記載はありました。新品です。」

 

メーカー不明・・・・

「ニスモ」「サード」「デンソー」「トーメイ」「HKS」などを期待していたのですが

これは・・・・燃料ポンプに原因がありそうな気がしてきました。

 

前回と同じく、

効果が無かったら元に戻すお約束で燃料タンクを開けてみると

見た事の無い形状の燃料ポンプがハリガネで固定されていました。

本体に、製造刻印なども皆無、

なぞの燃料ポンプ。

在庫のニスモ製を装着し走行してみると

 

秒で完全復活!  (ドッキリGP 風)

 

不可思議な燃料ポンプは、

「金色の円筒、薄いゴールドのポンプ、知らないですか?」と、

あちこちに電話で、

分かりにくい表現で問い合わせしてみると

どうやら中国製らしい・・・という説が・・・。

らしい・・・・

らしいで中国に責任を押し付けてはいけないのですが・・・。

 

1万円以下のお買い得価格だったそうです。

 

常連さんで中国の人が数名いらっしゃいますが

皆、人格者で日本が大好きです。

知り合いで、清掃等の手間のかかる作業を請けている

中国系の会社がありますが、

丁寧で安く、高評価です。

「中国」=「怪しい」とは思っていませんので。

 

(続きます)

燃料ポンプ2

BNR32のセッティングで、

ブースト0.8kg/cm2を超えたくらいから空燃比が薄く、

プログラムの数値を変更してもまったくそのままの状態で悩んだ事があります。

 

なぜ?

 

オーナーさんのお話では、

燃料ポンプもフィルターも交換済みとの事。

体感では正常に走行できるのですが、

以前から気になっていた言葉を思い出しました。

 

「ぼくのGTR、燃費が良いのですよ。10km/Lはいきます!」

 

日常的にゆっくり運転で

走行距離も短い車両なので圧縮が高く良好・・・・、

それにしても燃費が良すぎ。

そして、セッティング中に思っていたのはトルクが小さい事でした。

これは、やはり燃料ポンプかフィルターが怪しい・・・。

そこで、ポンプとフィルターの交換時期と

ポンプの製造メーカー、吐出量などの情報をお尋ねしたところ、

車輛を中古で購入した際に「交換済み」との口頭での説明で

記録簿も無く、実は詳細は不明でした。

 

これは・・・怪しい・・・・。

 

そこで、修理とテスト兼ねた燃料ポンプ交換のご提案、

効果が無ければ元に戻し工賃も無料で大丈夫。

ポンプやフィルター不良での燃圧低下が原因であれば

これ以外での解決方法はありません。

 

BNR32の燃料ポンプはガソリンタンクの底部に取り付けられています。

稀に作業をしようとフタを緩めるとガソリンがあふれる事があります。

直前に、給油口ぎりぎりまでガソリンを入れたケースで、

「恐怖」「汚れ」「もったいない」が並走します。

参考まで・・・、ステージアにRB26DETTが搭載された260RSは、

ガソリンタンクには、BNR32用が使用されています。

そのため、燃料ポンプもBNR32用です。

 

早速、燃料ポンプを取り外したのですが、

見るからに古い・・・・。

燃料ポンプには、ガソリンを吸い込むフィルターがありますが、

それが、真っ黒でした。

「俺は疲れているんだよ・・・」と話しかけているような風貌

間違いなく新品とは違う状態、

早速、交換しました。

 

これまでの苦労を無視するように瞬時で改善。

空燃比の改善のためにテストを兼ねての数値が入力されていたため、

高回転、高ブースト時では、マフラーから黒煙が目視できる状態に復帰し、

そこから数値を薄い方向に変更、

ノッキングデーターもノックセンサーのグラフ化で確認、

完了に至りました。

 

一度捜索があった場所に隠れるのは

ドラマなどでの犯人の常とう手段ですが、

まさにそれです。

 

(続きます)

Translate »