スカイラインGTRに使用されている燃料ポンプには、
ローラーベーン方式が採用されています。
通常のベーン方式の燃料ポンプは、
回転する中央部分から遠心力で仕切り板が外側に飛び出し、
円形の部屋を内側で区切り燃料を次々と圧送しますが、
スポーツカー、特にターボエンジンなどでの
マニホールド圧が高く大きな燃圧が必要とする場合、
燃圧を上げるために回転速度を上げる事で、
板が摩擦に負け消耗したり破砕するリスクへの対策として、
板の代わりにローラーを使用した構造が
ローラーベーン方式です。
以前、壊れた燃料ポンプを分解し、
内部を見ながら
「これがローラーベーンかぁ・・・。なるほどローラーだ!」
と感慨深く見た事があるのですが、
なぜ・・・写真を撮影しなかったか・・・・・
後悔しています・・・・。
アキュムレーターは真っ二つに切断したのですが・・・・
ローラーベーン方式は、高い燃圧を得やすいメリットがありますが、
デメリットの1つは、作動音が大きい事です。
通常のベーン式では、
消耗が進むとエンジンを始動できない燃圧まで急激に低下し、
エンジンが停止するのに対し、
ローラーベーン式では、ぎりぎりまで頑張ってエンジン始動が可能な場合が多いです。
なんとか走れてしまうのですが、
これが現状離脱の意味ではメリットでも、先の事例のように
燃圧が加給圧に負けインジェクターが開いても予定の燃料が噴射されない状態
希薄燃焼が発生する可能性が高く、
高回転、高ブーストでの走行が続いた場合、
空気不足で燃焼されずに残ったガソリンが
気化熱で燃焼室の温度を下げるガス冷却の効果が減少し、
エンジン破損のリスクを上げるデメリットがあります。
「燃費が良いのです!」
高い圧縮が維持されたエンジンで
中低速だけを使ったスムーズなアクセル操作での
ゆっくり運転の場合での実現であれば良いのですが、
燃料ポンプが消耗し希薄燃焼になっているケースも多いようです。
燃料が少ない場合、
ガス冷却の現象による高温燃焼の場合、
高回転では異常にパワーが出る場合があります。
「壊れる前のエンジンは速い!」には、
このような理由があるのかも知れません。
(続きます)