ターボエンジンのマニホールドには
大気圧以上の空気の壁があり、
インジェクターから燃料を噴射させるためには
その気圧を超えた圧力が必要になります。
ローラーベーン方式の燃料ポンプ内では、
複数の横長のローラーが回転しながら燃料を運ぶ部屋を形成するため、
ローラー、壁どちらも摩擦で摩耗し密閉率が下がります。
当たり面も変化するため
音が変わり、多くの場合では音が大きくなりますが
車両側にそれを検知する能力が無いため、
分からないまま走行してしまう事になります。
以前、
本当に以前の遠い昔、
シルビアS13が現役だった頃、
スカイラインGTR(BNR32)の燃料ポンプを
純正と入れ替えるチューンが流行っていました。
今では20万円を超える燃料ポンプですが
当時は3万円くらいだった記憶がありますが、
ヤフオクで1万円くらいの中古品を購入したS13のオーナーさんが
自力で交換し、100kmくらい走行の後に
エンジンが壊れた悲しい出来事がありました。
ポンプの装着方法に問題があった可能性はありますが、
交換後、燃料ポンプから激しい作動音が発生し、
オーナーさん的には、
「おお!噂通り、GTRポンプの音は大きい!」と興奮状態でしたが
その後の惨劇です。
中古の燃料ポンプには大きなリスクがあります。
確信犯的な出品もありますが、
同等に中華製も危険が伴う場合が多いです。
「蟹の味噌汁」
贅沢な一品ですが、
実は蟹の旨味の多くは出汁に移動し、
「蟹」は見た目のゴージャスさの演出の役目だったりしますが
中古のGTRフューエルポンプは、
まさに「蟹の味噌汁の蟹」にイメージが近いです。
そのような理由で
特にコンピューターのプログラム変更の際には
事前の燃料ポンプ交換は理想ですが、
純正、ニスモ製は、激しく高額で、
良策を探していたところ、
サード(SARD)から発売されました。
これは、朗報です!
本体、ステー、フィルター、配線がセットになっています。
燃料ポンプはガソリンタンク内にあるため
すべての部品がガソリンに対し溶けない素材であるのが大事です。
これも過去の経験ですが、
加給圧がかかったところで燃料と空気の割合が目標と異なり
薄い状態の33GTR(BCNR33)でした。
燃料ポンプの劣化の可能性をオーナーさんに相談したところ、
「数か月前に別のショップで交換しました!」との事、
製品は、BNR32用の中古・・・らしく、
本体不良の可能性を考えつつ
燃料タンクからポンプ部を取り出してみると
ポンプからエンジンに向かうホース・・・
ガソリンタンク内にあるゴム製のホースが
フニャフニャ状態で裂けていました。
おそらく、空気か水が通るようにホースを流用したのでしょう、
素材がガソリンで溶けてしまい、
ポンプが吸い上げた燃料の多くがすぐタンクに戻り
燃圧が確保できない状態になっていたのです。
ポンプを固定するためのバンド、フィルターも
同じくガソリンに強い素材が必要ですが、
ポンプを固定するための金属製のステー、バンド類もステンレスが安全です。
ガソリンタンク内には意外と水分が多く、
これらの金属が錆び、燃料フィルターでも制止できず
インジェクター内部で詰まり破損に至ったケースもあります。
参考まで・・・
同様の理由で、灯油用のタンクにガソリンを入れるのもNGです。
発泡スチロールのような溶け方は無いですが、
柔らかくなり、キャップ部から漏れるのを見た事があります。
サード(SARD)製のポンプですが
純正同様の235L/h以外に
265L/h、275L/h、295L/hもあり
仕様によって選択ができるのは、
一択だったニスモ製に比べてありがたい設定です。
値段も大幅に安いですし。
(燃料ポンプの話は、とりあえず終わりです)