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月別アーカイブ: 2024年11月

FPCM(Fuel Pump Control Module)オリジナル4

マイコン制御のオリジナルのFPCMでは、

回路の作り替えや半導体の入れ替えを行う事なく

ソフトでの機能の追加や変更ができる仕様で

以下の機能が追加できました。

4.エンジン始動時での2.5秒の100%起動から入力信号での減衰動作

5.バッテリー電圧の常時モニター

6.電圧低下の検知でバイパスリレー動作での100%直結

7.正常動作の確認時、通常動作に復帰

 

早速、数台のスカイラインGTRでテストを実施したところ、

半数以上で始動までのセルモーターの動作時間が短縮されました。

電気消費の大きいセルモーターの動作時には、

車輛の電圧が10V以下になってしまう事がありますが、

そのような電力不足の状態でも、

純正のFPCMはデューティー制御で燃料ポンプへの電気抑制を行うため、

電力不足と電気制御が重なる事で燃料ポンプのパワー不足による

エンジン始動に必要な燃圧確保の遅れが

始動までの時間を長くしているようです。

このような燃料不足での始動不良は

着火できないガソリンをプラグの電極に付着させ

「かぶる」という状態を発生させる事もあり、

新しいプラグに交換しないと再始動できない場合や

燃焼室に溜まったガソリンによるシリンダー内壁の油膜の希釈で

オイルの皮膜を弱らせ、金属表面に傷を入れるリスクもあります。

オリジナルのFPCMでは、

始動時は常時、

それ以外でも電圧のモニターによる一定より低い電圧では、

リレー回路で制御をバイパスし、

バッテリー電圧をそのまま供給する方式を採用しています。

始動時はリレー回路で燃料ポンプを2.5秒動作させ、

電圧の安定が確認されると

ゆっくりとデューティー制御を復帰させるようになっています。

急激な切り替えでは、逆起電力が発生するリスクがあり、

想定外の方向に大きな電気は電子部品へのリスクが高く、

「ゆっくり」は、このような場合では重要な動作になります。

常時稼働の電圧モニターの機能は

それ以外でのトラブル等で電圧が下がった場合も同様に

リレー回路で電気を燃料ポンプに直接与えるようになっています。

 

(続きます)

 

FPCM(Fuel Pump Control Module)オリジナル3

オリジナルのFPCMを「マイコン制御」で行うにあたり、

頼りの「いつもの人」からは、

「絶対、相談したい人がいます!」

イチオシのスーパーサイヤ人のような人が

どうやら存在するらしい。

ドリフトが得意だった若かりし頃、

高額で購入できなかったスカイラインGTR、

「憧れだった車に関われるのが楽しい!」

今は某大手で電子回路の設計などに携わる

最高の適材適所のエンジニア、

初対面から、

会話をするだけでこちらの知識が勝手に上がる錯覚、

人生とは、出会いによって作られていると思いました。

そして、しばらく後

完成したテスト用の試作モデルです。↓

中央のモニターにはエンジン動作時、

制御のデューティー値などが表示されるようになっています。

R’sミーティングで動作を目視できるよう展示予定だったのですが

展示車両のエンジン始動禁止で、

ただ、トランクに置いただけ状態でした。 泣

ですが、このテスト機の登場で

燃料ポンプの制御の数値変化で

実際の始動性や中間領域での走行性能にも

体感レベルで違いが出る事が分かりました。

そこで、オリジナルのFPCMでは

それらの数値も加えて開発する流れになりましたが、

こうなってくるとマイコン制御は数値変更が安易です。

従来の方法では必要な、

半導体チップや抵抗、コンデンサーの入れ替えなどが省略できます。

最初に、燃料ポンプの制御値について

1.アイドリング時を含め燃料ポンプの低い回転数での純正のデューティ値の見直し

2.中回転域でのデューティー値の見直し

3.高回転域でのデューティー値の見直し

テスト機のデューティー値の変更機能を使い、

エンジンの始動性能や、中速域、高速域での空燃比の安定とトルク

得やすい数値の走行テストを繰り返しました。

テスト機の基板右上の拡大画像です。

燃料ポンプの作動制御プログラムを簡単に変更できる

スイッチ機能は、

いろいろな走行テストが短期間で行えた理由です。

 

(続きます)

 

FPCM(Fuel Pump Control Module)オリジナル2

デューティー制御は、電気のオンオフの繰り返しにより

全体の時間に対してのオンの時間の割合(%)で通電を抑える方法です

上の図での、Tに対してHの時間が長いほど

燃料ポンプの回転数は上がります。

平成元年に世に登場したBNR32の燃料ポンプの制御に

当時の先端技術のPWM制御が採用されたのは、

日産のスカイラインGTRに対しての意気込みが感じられます。

制御部品はFPCM(Fuel Pump Control Module)と言います。

エンジン制御コンピューター(ECU)からの2つの指示信号で

強中弱の3種類のデューティー値を使い回転数の調整を行っています。

しかし、近年、BNR32のエンジンが突然停止し、

FPCMが原因の事例が明らかに増加しています。

空燃比計を装着しECUのプログラムセッティング中、

回転数、ブースト圧、アクセル開度、負荷が同じ状況下で、

異なる空燃比が交互に現れるような状態では、

その原因が分からず、その後、エンジンが完全に停止し、

同様にFPCMの故障に関係している事が通電のテストで判明しましたが、

もし、中途半端な状態が継続していれば、

ガス冷却が効かない希薄燃焼でエンジン内部が融解したリスクもありました。

FPCMのコンデンサーや抵抗を交換し故障を抑制する手法で対応していましたが、

正常に動く個体が減少し、オークションなどでの中古市場の出品数も減り、

価格は上がり、それらが正常であるかの判別も難しく、

そこで、代替品の製作を考えるようになりました。

 

BNR34の純正FPCMです。↓

リアシートの後側に取り付けられています。

内部の画像です。↓

故障したFPCMの内部を確認しても目視では分からない事も多いですが

明らかに「これだ!」と分かるのは黄色の〇の部品です。

画像では分かりにくいのですが、

小さなボルトでケースの内側に押さえつけるように固定されている部品が

FETと呼ばれるスイッチの仕事をする半導体ですが、

これが焦げて白色化しているのです。

故障した基板の画像があると分かりやすいのですが、

すべて処分してしまいました。

とても残念です・・・。

まさかこのような事態になるとは思わなかったもので・・・

FETの画像です。↓

 

FETはトランジスタの一種です。

性質の違う半導体の組み合わせで電気信号で動くスイッチとして使用されています。

デューティー制御による超高速なスイッチのオンオフ、

1秒間に1000回レベルでは、

リレーのような機械的なスイッチでの対応ができないため、

このような半導体が必要ですが、大きな問題が温度です。

画像の黄色の〇のFETが、

ケースの内側に押さえつけるように固定されいる理由は放熱です。

もし、ボルトが緩んでケースとの間に隙間ができてしまうと、

短時間で白煙を上げ壊れてしまいます。

 

平成元年に登場したBNR32にデューティー制御が採用されている事に、

「先端技術」と表現しましたが、実は「最先端」では無かったようです。

基盤に使われている沢山の制御回路半導体部品は、

それぞれの特性をパズルのように組み合わせることで、

要求される動作を行えるユニットとして構成されていますが、

同じ時期、エンジンを制御するコンピューター(ECU)に採用されていた

プログラムをパソコン等から入力できる半導体を使用していれば

もっとシンプルに制御ができるユニットができていたはずです。

しかし、それが使われなかった理由の一つはおそらくコストです。

FPCMのミルスペックでは、

コンデンサー類を新型に入れ替える事での耐久性の向上が目的でしたが、

現状では正常なベースの純正FPCMが不足の状態です。

そこで、制御のための半導体などを現代の製品に置き換えた

オリジナルのFPCMの製作で試行錯誤が始まりました。

最も必要な性能は安定した動作と耐久性です。

自動車で使用できる条件として、120℃の温度に耐えられる部品の選別、

振動や湿度への強さは大前提です。

アテーサE-TSの製品化でお世話になった電子関係の知識の山の

「いつもの人」の助力は今回も必要です。

当初は「純正回路の現在バージョン化」からスタートでしたが、

市販の制御用半導体を組み合わせ複雑化した基板では、

ハンダの割れなどによる故障リスクも高まり、

発熱するFETの対策なども含めて設計が複雑化したところで

「これって、マイコンで制御した方がシンプルで高性能では?」の一言から、

動作は純正と同じでも、制御はまったく異なる新型の開発に進みました。

 

(続きます・・・)

FPCM(Fuel Pump Control Module) オリジナル

オリジナルのFPCMのご説明です。

いつものように余談と脱線も交えて長くなりそうですが

興味のある方のご一読、

よろしくお願いいたします。

(R’sミーティングで配布のリオマガジン009からの抜粋です)



日産が生産を中止し故障事例が増え、

部品調達にとても困っているのがFPCMです。

FPCMは、(Fuel Pump Control Module)のイニシャルを連ねた名称で、

直訳は「燃料ポンプを制御する部品」です。

RB26DETT系の燃料ポンプは、ガソリンタンク内に固定されています。

燃料によるポンプの冷却、燃料の重さ(水圧)を圧送に利用、

タンク外への取り付けでの泥や錆によるポンプへのダメージを

抑える効果もあります。

スカイラインGTRやステージア260RSでは、

イグニッションONで、車両後方から2種類のモーター音が聞こえます。

1つはアテーサE-TSのモーター音です。

車両と状態による個体差はありますが、

アテーサ駆動のための油圧が3.8Mpsに達するまで2~5秒間続きます。

もう1つは燃料ポンプです。

イグニッションキーONから約3秒、

ECU(エンジン制御コンピューター)からの信号で動くように設定されています。

ポンプがガソリンタンクから燃料を圧送し、

フューエルインジェクターまでに圧力を貯める動作を行っています。

 

ECUからの信号で燃料ポンプリレーが作動し、

燃料ポンプのプラス側に電気を送り、

同時に燃料ポンプのマイナス側では

FPCMが回転数を制御する動作を行っています。

つまりFPCMは、電気の流れを邪魔している事になります。

燃料の流れは、

燃料ポンプ(ガソリンタンク内)⇒

燃料フィルター⇒

インジェクター(6個)⇒

レギュレーター⇒

ガソリンタンクに戻ります。

インジェクターの使用量より多くのガソリンが供給され、

使われなかった燃料がガソリンタンクに戻る部分的な循環構造です。

燃料の通過により熱をガソリンタンクに運び

インジェクター関連を冷却する効果があります。

エンジン上部にあるインジェクターなどの部品類は過熱されやすく、

特に燃料パイプは、モータースポーツなどでの激しい使用では、

液体である燃料が噴射前に沸騰し、

気化した状態でインジェクターから噴射される状態では、

燃料不足による始動不良や失火、

希薄燃焼でのエンジンブローに至るケースもあります。

しかし、この冷却工程は、望ましくない現象も発生させます。

エンジンルーム内の熱を燃料がガソリンタンクへリターン工程で運ぶ事で、

タンク内の温度を上昇させてしまいます。

加熱によって膨張したガソリンは、

沸騰気化よりはマシですが同じ体積での分子の数が下がるため、

インジェクターから同じ時間制御で噴射された状態では、

実質的なガソリンの量を減少させてしまいます。

密閉されたシリンダー(燃焼室)内では、

酸素の量に対して燃焼できるガソリンの量に上限がありますが、

燃焼できないガソリンを意図的に増やし、

余ったガソリンが気化熱でシリンダー内の温度を奪い、

バルブやピストンなどの金属部品を熱融解から守る「ガス冷却」が行われています。

ROMセッティングでは、

この燃焼温度の管理がプログラムの数値を決める重要な条件の一つですが、

冷却を優先させて燃料を増やし過ぎると、

燃焼温度が下がり過ぎ、パワーと燃費を低下させてしまう事もあります。

インジェクターは水道の蛇口と同じで、

燃料の通路の開閉を行っているだけで、

インジェクター本体に燃料を噴射させる能力は無いため

燃料の圧力によって噴射量が変化するため、

圧力を作る燃料ポンプの正常な動作は、

エンジンのトルクや耐久性に大きく影響する事になります。

 

燃料の必要量は、エンジン回転数や過給圧などによって変化します。

回転数が低く空気が少ない負圧状態のアイドリングでは、

必要量が少ない状態のため、

燃料ポンプの回転数を低く調整するようになっています。

ポンプの回転制御による効果として、

ガソリンタンク内の温度上昇の抑制は先の通りですが、

燃料ポンプのモーターの回転部品の消耗を抑える効果もあります。

「キーオンで始まるウィーーーンの音が良いのだ!」

バッテリー直配線でのアイドリング時からポンプが全開の状態に、

そのようなマニアなご意見もありますが、

高出力が連続する競技の世界では有りですが、

耐久性や熱抑制を兼ねた低い回転の静かさも良いものです。

 

燃料ポンプの回転制御で最もシンプルな方法は、電気抵抗器(レジスター)です。

モーターのマイナス側にレジスターを直列に接続し、

通電を妨げてモーターの回転を落とす方法はシルビアで採用されています。

アイドリング時を含めた低いエンジン回転域では抵抗が入り、

速度が上がると回路が切り替わり直通状態(レジスター無し)になります。

シンプルで故障が少ない構造ですが、

レジスターからの発熱はエネルギーの無駄で2段階での制御にも難しさがあり、

純正制御での燃料ポンプ制御の切り替えのタイミングでのトルクダウンに対して、

モータースポーツでは、レジスターを取り外しカプラーを直結、

フューエルポンプを常時全開にする手法が流行りました。

しかし、先の理由からポンプへの負担は大きく、

ガソリンタンクの熱対策も合わせ、

できれば3段階、そして滑らかな回転数の移行ができる手法が

スカイラインGTRで採用された「デューティー制御」です。

昔の扇風機、3段階スイッチの「ガチャ」の感触は、

若者の皆さんはご存知ないかも知れません・・・。

機械的に強中弱に切り替わる扇風機のスイッチは幼少期は「強」一択でした。

暑い夏、エアコンが無い時代に「弱」など無意味です。

ところで、扇風機の「強」のボタンを押した状態で、

他のスイッチや羽根に触らず回転数を落とすにはどのような方法があるでしょうか?

小学生の頃、扇風機と扇風機を向かい合わせに置き、

双方から強風を当て戦わせた事がありました。

ずっと続けていると片方の扇風機の回転が弱まり、

円筒形のモーター部分が熱くなり動かなくなりました。

父親は爆笑、母親は激怒、遠い昔の辛い記憶です。

これ以外で回転を制御する方法として「コンセントの抜き差し」があります。

一定時間内でのコンセントを差し込んだ時間の割合が多いほど

扇風機の羽の回転数は上がります。

これがデューティー制御のとても乱暴な説明です。

この制御方式は専門用語ではPWM制御と言います。(Pulse Width Modulation)。

 

(続きます)

R’sミーティング2024

R’sミーティング2024 おかげさまで終える事ができました。

たくさんのご来店もありがとうございました。

 

数年前、

イベントに初めて参加した時の個人的な事前予想では、

周囲を散策できるほどの暇による「自分がお客様状態」だったのですが、

多くの方が話しかけて下さった驚きによる嬉しさがありました。

以来、コロナによる出店と入場も制限された時期を除いて、

連続しての参加で恒例行事になりました。

毎回、驚いたしまうのは、

ホームページのブログについて、

ほとんど車とは無関係な話題の多い 逸脱を軸とした文章ですが、

「見てます!もっと更新してください!」と 数名の方から言われ

「アニメ系の話が多いですね。」で盛り上がり

初めてお会いできた感じが無くなり

 

ところで今回の出品のメインはオリジナルのFPCMでした。

スカイラインGTRやステージア260RS

フェアレディZ32などに使用されている

燃料ポンプの制御ユニット

FPCM(Fuel Pump Control Module)は、

直訳では、「燃料ポンプを制御する部品」です。

この最近でのトラブルの多さは顕著で

そして、日産では生産中止。

故障によるエンジンの突然停止や破損の事例もあり、

当初は使用中の製品の耐久性を上げる方法で対応していたのですが

故障した本体の修理にはリスクがあり、

それならば・・・と製作に至りました。

詳細は、後のブログでご紹介させて頂きます。

実は、今回のR’sミーティングでは、

この製品にどれくらいの必要性の周知があるのか知りたかったのですが

午前6時のテント設営から午後3時までご説明が続き、

「新車から未交換で気になっている部品」というご意見もあって

製作を進めたのは良かったかなぁ・・・と実感できました。

 

そして、翌日

声が出なくなっていました。

「風邪か・・・?」と思ったのですが体調は良好で

「あ!話し続けて声帯が・・・」に気がつきました。

ありがたい事です。

 

来年もよろしくお願いいたします。

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