
積載車でお引取りしたGTR(BNR32)は
トランクから10秒~20秒に一回のカチカチ音が続いていました。
しかし、故障診断では「異常なし」。
アキュムレーター交換や
アテーサE-TSの油圧系(リアデフ上)の修理歴は無かったため
オーナーさんとのご相談で
予想修理の意味も含めての作業のご了解を頂きました。
可能性は高いものの、
100%アキュムレーターと確定できないため、
ご了承が必要になってしまいます。
しかし、リフトアップの後、
リアデフ上のアキュムレーターを取り外した段階で
アキュムレーターか圧力センサー不良がほぼ間違いないと思われました。
理由は、アキュムレーター取り外しの際、
アテーサE-TSの油圧伝達用のフルードが噴き出さなかったからです。
正常であれば、ネジ式で固定されているアキュムレーターを緩めた際
ブワーーーッ!とフルードが噴き出します。

↑取り外し前(正常時)
↓取り外し中(正常時)

↑ガス圧で押されたピストンの圧力でフルードが噴き出しますが
アキュムレーターが壊れている場合

↑の位置でピストンが固着しガス圧が残っていても
↓フルードがほとんど噴き出さないケースか

圧力スイッチの不良でアキュムレーターが正常でも
↓フルードが噴き出さないケースです。

圧力スイッチが油圧がかかる前にモーターを止めてしまう事例です。
しかし、この場合では、4WDの警告灯がメーターに表示されますので
故障は、アキュムレーター側にありそうです。
そして取り外したアキュムレーターを実測すると

↑このような数値になりました。
切断したサンプルで表現しますと

おそらくガスが抜けてしまい
ピストンを押し戻す能力が失われているようです。
参考にまで正常なアキュムレーターで測定すると

切断サンプルの再現では、

つまり、このBNR32は、
ずっとFRで走行していた事になります。
オーナーさんはとてもおとなしいそうな方でしたので
ゆっくり走行での危険性は低いですが、
滑りやすい路面状態では、
アテーサE-TSの性能が発揮されず
リスクの高い状態とも言えます。
アテーサE-TSの油圧スイッチの故障の可能性は
以上の状態から低くなりましたが、
故障の頻度が高く、
ディーラーさんでの通常作業では
この部品だけの購入は純正設定が無いため難しく

↑これが買えないのです・・・・
ニスモへりーじですと数十万円の費用がかかってしまうため
リオオリジナルのセンサー式でのご対応になりました。
せっかく広島にあるので・・・との事で
こちらも故障頻度が上がっているFPCMも交換、

(左、オリジナル基板交換済み)(右、取り外した純正基板)
神奈川県までの納車に旅に出ました。
スカイラインGTRの遠いオーナーさんからのオーダーは
本当にうれしく思います。
そして

引取りの時とは違い
富士山に雪が・・・・。
10日間くらいの間の風景の変化に感動です。
後日、オーナーさんから、
始動動作、エンジンがかかる前のキーオン発生する2つの音
アテーサーE-TSのポンプの作動音と
フューエルポンプの作動音が
これまでとは異なり、
始動性も上がったご報告を頂きました。
ありがたやありがたや・・・・
さらに後日、
愛知県に在住のBNR34のお客様から届いた画像では

実に美しい!
遠方からのご依頼、本当にありがとうございました!