アテーサE-TSの圧力スイッチのフルード漏れが続き、
(BNR32が顕著に多いです)
しかし、この部品は生産が終了し、
ユニットをセットで日産に送っての現物修理方法の選択肢はあるものの
ヘリテージでの金額は悩ましい高額です。
R35エアフロ流用と同じく、
代替えで使える部品の製作できないものかと考え
3年かかってしまいましたが修理に使えるようになりました。
問題の多いフルード漏れのスイッチです。↓
BNR32では、リアデフ上の位置で、ここからフルードが漏れます。
デフ上ユニットの黄色の〇の場所、
圧力を検知し、オンオフの動作を行うこのスイッチは、
配線からフルード漏れが発生するケースもあります。
(センサー部から加圧したテスト中の画像です。)
スイッチから漏れたフルードは、
通常はリアデフの左側から地面に落ちますが、
配線部からの漏れでは、配線内部を押し出され移動し、
配線の端のリアデフの右側のカプラー部分から漏れる事例もありました。
R’sミーティングで初めてお会いしたBNR32のオーナーさんからは、
4WDの警告ライトが点灯し、トランク右のフルードが減る症状ですが、
漏れる位置がリアデフ右側で、スイッチ本体からの漏れは確認されず
「アテーサのスイッチ以外での可能性はどこかありますか?」
そのような実に具体的なご相談がありました。
「なぜ、リアデフの右側なのだろう・・・?」
センタートランスファーとユニットの間のホース類が近い位置ですが、
太い内径のため漏れると激しい量になるはず。
しかし、漏れはポタ・・・ポタ・・・・と少量のしずくのような落ち方で、
後日、積載車で愛知県へ引き取りにお伺いしました。
早速、リオに戻ってリフトアップで調べてみたところ
狭い配線内部をフルードが移動し、
リアデフ右側の通電カプラーから地面へ落ちていました。
R’sミーティングでは、
このアテーサのスイッチのご相談でのご来店が多く、
起こるべくして起こっている故障のようです。
先日、
初めてのBNR32のオーナーさんから
アテーサーE-TSの圧力スイッチからのフルード漏れについて
お電話でのご相談がありました。
早速、車両をお預りし、圧力スイッチからのフルード漏れを確認しました。
典型的な故障のケースです。
よく研究されているお客様で
同時にアキュムレーターの交換のご依頼もありました。
取り外したアキュムレーターですが
外観での破損は無く、
故障診断でも異常の表示は無かったのですが、
単体でのテストで故障が確認されました。
↑新品のアキュムレーターの画像です。
取り外したアキュムレーター↓ですが、
フルードの通路の下部、
圧力を取り入れるネジ部からノギスを入れて測定すると
82.48mmが表示されました。
以前にGTRマガジンの撮影用で切断したアキュムレーターで
ピストン位置を再現すると・・・
↑このような状態になります。
ちなみに、新品のアキュムレーターでの同様の測定では、
↑ですので、内部を切断モデルで再現しますと
本来、アキュムレーターの黄色の部分には窒素ガスが封入され↓
フリーの状態では、画像の位置までピストンを押し戻し
気圧と同等の状態で停止しているのが正常です。
しかし、この圧力を作るがめのガスが抜けてしまったため、
ピストンが↑の位置で止まったままの
「まったく圧力を貯められない」状態です。
アテーサE-TSは、モーターと圧力スイッチによって作られ
アキュムレーターに貯められたフルードの圧力が
ソレノイドという水道の蛇口のようなバルブで制御され
センタートランスファーのクラッチを加圧し
トランスファー内部のディスク間で発生する摩擦で
フロントタイヤを駆動するシステムです。
メーターにある「フロントタイヤトルクメーター」は、
「ソレノイドの開き」が表示されていますが、
アキュムレーターが壊れたアテーサE-TSでは、
4WD風にトルクメーターが動いても
フロントタイヤにはまったく駆動がない「ほぼFR」です。
このような状態に、フロントタイヤのトルク配分を増やす目的で
アテーサコントローラーを取り付けたとしても、
水の出ない蛇口の開く角度を変えているのと同じで、
まったく走行に変化が出ない事になります。
アテーサE-TSを正常化する事での効果として
リアがスライドしても、修正の操作が安易である事と
前に進む動きによりモータースポーツでのタイムアップの可能性が高く
特にウェット路面での直進安定性は大幅に改善されます。
スカイラインGTRのアテーサE-TSは、
作動圧力を測定する能力が無く、
その数値が大幅にずれても異常の判断ができず
そのまま使用してしまうケースが多いようです。
少しずつ壊れ、FRでも4WDの気分になってしまうため、
異常にオーナーさんが気がつかないのですが、
今回のような事例はとても多いようです。